かつて名のうれたハスラーだったDan Janes氏は、バルチモアの仕事場で、最高級品だけを少量手作生産していた。1986年の世界チャンピオン、Mike
Sigel(マイク・シーゲル)氏は、それまでは2〜10位以内の成績から抜け出れずにいたが、Jossキューに切り換えてから各種のトー
ナメントを制覇するようになったことはあまりに有名である。映画ハスラー2に使われたキュー を作ったメーカーとしても知られている。
Dan Janes氏のインレイ(寄木埋込細工)は以前から独創性のあるものばかりで、他のメーカーの格好のコピーの手本となってきたが、パンタグラフマシンでは作れない模様やジョイント部分への複雑な彫刻など、常に独創的、かつ、最高難度で、他のメーカーでは絶対にまねのできない手仕事を狙っていた。
研究しつくされた「しっくりとしたフィーリング」と「打球性能」は現代の最高級品の中でも最高傑作で、米国で多くの有名プロプレーヤーに愛用されてきており、「キュ
ーのロールスロイス」といわれる所以(ゆえん)である。
近年では、特別に高価な特注品や懇意の筋の高級限定品以外はDan Janes氏は直接キューを製作せず、一般ライン品や低価格の限定品は息子のStephen
Janes氏が担当してきた。しかし、つい最近になって、漸(ようや)く、Stephen Janes氏も一本物のキューを製作し始め、いよいよ世代交代の準備が本格化している様子が伺われる。
Brunswick(ブランズウィック)社のキューをOEM生産していたこともある。
なお、Josswestと区別するため、かつて、JossをJosseast(ジョスイースト)と呼ぶ俗称があったが、Josseastという「商標」は存在しない。